2023年10月20日
マーケティング戦略を考える際は、様々な分析が必要になります。周辺環境を整理しなくては本質的な課題を解決することが難しいからです。
しかし、最初はどのような分析をすれば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。
そこで用いるのがフレームワークです。フレームワークは物事を論理的に考えることに役立ちます。
今回は、企画書作成にも有効であるマーケティングに関する代表的なフレームワークをご紹介します!
マーケティングについての基礎知識はこちらの記事をご覧ください!
【初心者必見】マーケティングとは?1分で理解できる解説
思考を整理するためのフレームワーク
MECE
MECEとは、Mutually(お互いに) Exclusive(重複せず) Collectively(全体に) Exhaustive(漏れがない)の略で、「漏れがなく、ダブりがない」状態のことを指します。
※「ミーシー」と読みます。
MECEは特定の何かを分析するフレームワークではなく、「フレームワークを考えるうえで常に目指しておくべき状態」だといえます。
というのも、ある課題に対して全体像が把握できていない、または視点に偏りがある場合、考えるべき要素が抜けてしまうことや要素の中身が被ってしまうといった現象が起こり、効果的な戦略を立てることが難しくなります。
MECEの考え方の例をご紹介します。
- ①漏れがあり、ダブりがない
⇒小学生、高校生、大学生(「中学生」が抜けている)- ②漏れがなく、タブりがある
⇒学生、アルバイト、社会人(「学生」と「アルバイト」の要素がタブっている)- ③漏れがなく、タブりがない
⇒正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト
それでは、MECEを達成するためにどのようなアプローチをするべきなのでしょうか。
ここでは2つのアプローチ手法をご紹介します。
トップダウンアプローチ
全体から詳細へ細分化していくアプローチ手法です。
課題の全体像がある程度把握できている場合に有効です。
トップダウンアプローチでは元となる全体像がつかめていなければ、細分化した際に抜け漏れが出てしまう可能性があります。
ボトムアップアプローチ
ボトムアップアプローチでは反対に細分化された要素から全体像を考える手法です。
課題に対して一部分のみ把握できている場合に利用します。
MECEで物事を捉えるためには、4つの切り口で考えることが有効だとされています。
①要素分解
対象を一定の法則でそれぞれの要素に切り分ける方法です。
②時系列・ステップ分け
対象をフローや時間軸で切り分ける方法です。
例えば、このあとご紹介する消費者行動プロセスであるAIDMAやAISSASなどは消費者の認知から購入までをステップごとに分類しています。
③対象概念
対になっている概念を可能な限りあげていく方法です。
④因数分解
対象を計算式の要素に分解する方法です。
例えば、クリック単価であれば費用÷クリック数といったような計算式で使用する要素ごとに考えることができます。
ロジックツリー手法
ロジックツリー手法とは、対象をツリー状に分解することで要因や解決策を見つけ出すためのフレームワークです。展開が可視化しやすく、全体把握がしやすいことがメリットとして挙げられます。
ロジックツリーには目的に応じて4つの構造が考えられます。
原因追求ツリー
対象を「なぜ?」という問いかけをもとにその原因となっているものを探すツリー構造です。画像のように、最初に提示した対象(課題)がなぜ起きているのかという原因を明らかにすることが可能です。
問題解決ツリー
対象である課題を解決できる方法を整理していくツリー構造です。
「SNSのフォロワーを増やしたい」という課題に対し、「1日10人フォローする」「投稿数を増やす」といった具体的な手法が解決策になります。
要素分解ツリー
対象を要素ごとに分解するツリー構造です。
例えば「1万円の使い道」を探しているのであれば、1万円でできることを要素ごとに細分化していくと、最終的には「イタリアンを食べに行く」といった選択肢にたどり着くことができるようになります。
KPIツリー
対象を最終的な目標(KGI)に設定し、そのKGIを達成するための手段を考えるツリー構造です。
下記のように、売上増加がKGIだとするとKGIを達成するために購入者数や購入単価といった指標がKPIになると考えられます。
消費者行動を理解するためのフレームワーク
商品を認知してから購入するまでの消費者行動において、自社のターゲットがどのフェーズにいるのか?を理解することが、効果的な施策の展開に繋がります。
- AIDMA
- AISAS
- ULSSAS
- ZMOT
今回は、上記の4種類をご紹介します。
AIDMA
AIDMAはAttention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)の頭文字を取った消費者行動プロセスのモデルです。
AISAS
AISASはAttention(認知・注意)・Interest(興味・関心)・Search(検索)・Action(行動)・Share(共有)の頭文字をとった行動プロセスです。
企業からの一方的な情報発信が主であったAIDMAに対し、AISASでは消費者自身による発信(Search・Share)が追加されています。
このように、行動(購買)を終えた消費者が口コミ等を通じて体験や評価を共有することで新たな顧客獲得に繋がる循環が生まれます。
ULSSAS
ULSSASはUGC(認知)・Like(いいね!)・Search1(ソーシャルメディア検索)・Search②(Google/Yahoo!検索)・Attention(購買)・Spread(拡散)から成る行動モデルで、ホットリンク社が提唱しました。
なかでもサイクルの起点がUGCであることが重要で、今まで認知獲得のためには広告やCMといった多額の費用をかけて見込み顧客を生み出していたものが、消費者自身によるサイクルに変化しています。
ZMOT
ZMOT (Zero Moment of Truth)とは、Googleが2011年に提唱しました。
これは「消費者は店舗に来てから商品を決めているのではなく、インターネット上で買う商品を決めている」という理論です。
ZMOTの背景にはP&Gが2004年に提唱したFMOT(First Moment Of Truth)とSMOT(Second Moment of Truth)が存在します。
- FMOT(First Moment Of Truth)…消費者は店頭で購入する商品を決めている
- SMOT(Second Moment of Truth)…消費者は購入した商品の体験を通して、商品の良し悪しを決めリピートするかを判断する
しかし、インターネットの普及によりSNSや口コミによる情報から購入する商品を決定するモデルが主流になりました。そのため、マーケティングを考えるうえでは消費者が店頭に足を運ぶ前に接点を持つことが必要不可欠になっています。
マーケティング戦略に役立つフレームワーク
ここからはマーケティング戦略に役立つ代表的なフレームワークをご紹介します。
今回は、戦略を考えるうえでの基本的な流れであるマーケティングプロセスに沿って各フレームワークを説明していきます。
マーケティングプロセスとは
マーケティングプロセスとは、市場分析から施策の実行・評価までの全体的なフローを指します。6つのプロセスで構成されていますが、基本的な考えは大きな枠組みを掴み、それをさらに細分化していく手法になります。
市場分析
市場分析は自社が所属している業界や世の中の情勢を捉えることが目的です。
市場分析をするためのフレームワークはPEST分析・3C分析・SWOT分析の3種類が用いられます。
3C分析
3C分析はビジネスの成功要因(KSF:Key Success Factor)を見つけるため使用されるフレームワークです。
内部要因である自社と外部要因である市場・顧客を照らし合わせることで打ち出すべき施策を決定することに役立ちます。
ポイントは自社だけでなく市場や競合他社といった外部要因を分析することで、自社目線に偏らない、フラットな分析が可能になることです
- Customer(市場・顧客)
- Company(自社)
- Competitor(競合他社)
PEST分析
PEST分析は、マクロ環境分析のためのフレームワークです。
マクロ環境とは企業が統制できず、企業とは無関係に起こっている外部環境のことを指します。いかに良い製品やサービスを生み出しても、それが世の中の動向や消費者のニーズと合致していなければ購入してもらうことはできません。
また、外部環境を捉えることで企業として目指す方向をいち早く定めることができ、危機回避や事業拡大などに繋がります。
- Politics(政治的要因):法律や政権交代など
- Economy(経済的要因):景気や物価など
- Society(社会的要因):少子高齢化や世の中の流行など
- Technology(技術的要因):新技術やインフラなど
また、3C分析のCustomer(市場・顧客)の分析においてはPEST分析が用いられます。
SWOT分析
SWOT分析は、内部要因と外部要因をメリット・デメリットの2軸で分析するフレームワークです。3C分析をさらに詳細にしたイメージです。
- Strengths(自社の強み)
- Weaknesses(自社の弱み)
- Opportunities(機会)
- Threats(脅威)
セグメンテーション/ターゲティング/ポジショニング
市場分析が完了すると、市場細分化(セグメンテーション)を行いその市場が構成されている要素を洗い出します。そのうえで、自社がターゲットとする市場はどこか(ターゲティング)、ターゲットに対しどのような見せ方をするのか(ポジショニング)を決定していきます。このセグメンテーションからポジショニングまでをSTP分析によって行っていきます。
STP分析
STP分析は、下記3つの要素から構成されています。
- Segmentation(セグメンテーション)
- Targeting(ターゲティング)
- Positioning(ポジショニング)
Segmentation(セグメンテーション)
セグメンテーションでは、市場をわけることが目的であるため様々な変数を用いて細分化をします。
- 人口動態変数:年齢、性別、職業、家族構成など
- 地理的変数 : 国、都道府県、人口密度、気候など
- 心理的変数:価値観、性格、ライフスタイルなど
- 行動変数:購入パターン、購入頻度、用途など
Targeting(ターゲティング)
ターゲティングは、セグメンテーションで細分化した分類をもとに、ターゲットを絞る作業です。
Positioning(ポジショニング)
ポジショニングは、ターゲットに対しサービスをどのように見せるか?という分析です。
同じ市場の中でも、様々な競合他社が存在するため、他社との優位点や差別化要素を明確にすることがポイントです。
マーケティングミックス
STP分析により、自社が打ち出すべき市場やターゲットが明確になりました。
ここからは、実行戦略について考えていきます。
4P
マーケティングミックスはProduct(製品)、Price(価格)、Place (流通)、Promotion(販売促進)の4つのP(4P)から構成されており、マーケティングミックス≒4Pとして捉えられることが基本です。
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place (流通)
- Promotion(販売促進)
4Pを考えることで順番になにを、どんな価格で、どの場所で、どのように伝えるか?ということを定めることが可能です。
また、4Pを考える際に対の概念として考えられることが多いのが4Cです。
4C
企業目線で考えられる4Pとは反対に、4Cは顧客目線で分析する方法です。
4Cは顧客目線が重要になるフレームワークですが、考えている中で企業に有利に考えてしまう場合もあります。そのため、アンケート結果を利用するなどできるだけ客観的な事実に基づいて作成することが求められます。
- Customer Value(顧客にとっての価値)
- Cost(顧客が払う費用)
- Convenience(顧客にとっての利便性)
- Communication(顧客とのコミュニケーション)
評価と実行
実行した施策はもちろん実行して終わり、ではなく、評価・修正を行うことでPDCAを回していくことが必要になります
このように、マーケティングプロセスに沿って考えてみると、フレームワークの意味がわかりやすくなりますね。
まとめ
いかがでしょうか?
今回は、①思考を整理するためのフレームワーク②消費者行動を理解するためのフレームワーク③マーケティング戦略に役立つフレームワークをご紹介してきました。
フレームワークは様々な種類がありますが、課題を日常的に様々な角度から見る癖を付けることが重要かと思います。自社に適したフレームワークを利用し、戦略立案に役立てていきましょう!
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