2026年3月12日
「定員に余裕があるのに、なかなか新規の利用者が来てくれない」——デイサービスを運営していると、こういった悩みを抱える時期が必ず来ます。
スタッフは揃っている、設備も整っている、サービスの質にも自信がある。でも稼働率が上がらない。この状況を打開するために、広告チラシを大量に配ってみたけれど思ったほど反応がなかった、という経験をされた方も多いのではないでしょうか。
デイサービスの集客で本当に効果が出るのは、「近くに住んでいる方とその家族に届けること」です。遠くに住む方にいくら情報を届けても、通える距離でなければ意味がありません。
この「必要な人にだけ届ける」を実現するのが、ジオターゲティングという集客手法です。空き状況をリアルタイムで地域に告知しながら稼働率を最大化するやり方を、分かりやすく解説していきます。
目次
デイサービスの集客がうまくいかない本当の理由
デイサービスの集客は、一般的なビジネスと少し違う難しさがあります。利用者の多くは高齢者本人ではなく、その家族が情報収集をして選ぶという特徴があります。
息子さんや娘さんが「近くの施設を探したい」と思ったとき、まずスマートフォンやパソコンで検索します。このとき「近い」「空きがある」「どんな雰囲気か分かる」という情報が揃っているかどうかが、問い合わせにつながるかどうかを左右します。
チラシやポスティングだけでは、スマホで情報収集する現代の家族層に届きにくくなっています。デジタルとアナログを組み合わせた新しいアプローチが必要な時代になっています。
「空きがあることを知らない」ことが機会損失を生んでいる
近隣に住む家族が「そろそろデイサービスを探そう」と思ったとき、候補になるのは「存在を知っている施設」だけです。どんなに良いサービスをしていても、知られていなければ選択肢に入れてもらえません。
さらに厄介なのが「空きがあるかどうか分からない」という問題です。良さそうな施設を見つけても、「満員だったら申し訳ない」「問い合わせして断られたら気まずい」という心理から、問い合わせをためらう家族も多くいます。
空き情報をリアルタイムで地域に発信することは、この「問い合わせのハードル」を下げる直接的な手段です。「今○名空きがあります」という情報があるだけで、家族は安心して問い合わせへの一歩を踏み出せます。
ケアマネジャー頼みの紹介だけでは稼働率が安定しない理由
多くのデイサービスは、ケアマネジャーからの紹介を主な集客経路としています。もちろん、ケアマネジャーとの関係づくりは今後も大切です。でも、これだけに頼る体制には限界があります。
担当ケアマネジャーが変わったとき、担当者の異動があったとき、他の施設との関係が強化されたとき——こうした外的要因で紹介数が減ることがあります。特定の経路だけに依存していると、稼働率が急激に下がるリスクがあります。
ジオターゲティングによる直接集客を加えることで、紹介依存から脱却し、複数の経路から安定的に問い合わせが来る体制を作ることが、稼働率を長期的に維持する上で重要な考え方になります。
ジオターゲティングがデイサービスの集客に効く仕組み
ジオターゲティングとは、特定のエリアに住んでいる人、または特定の場所の近くにいる人だけにデジタル広告を届ける手法です。スマートフォンのGPS情報やインターネットの接続場所データを活用しています。
デイサービスの場合、施設から車や公共交通機関で通える範囲(多くは半径5〜10km程度)に限定して広告を届けることができます。通えない距離に住む方に広告費をかけることなく、本当に利用可能性がある方だけにアプローチできます。
「通える範囲に住む家族にだけ費用をかける」という考え方が、デイサービスのジオターゲティングの本質です。無駄なく、必要な人に届けることで、限られた広告予算から最大の効果を引き出せます。
デイサービスのターゲット層をジオ広告で絞り込む方法
ジオターゲティングはエリアを絞るだけでなく、年齢層や家族構成といった属性も組み合わせることができます。デイサービスの場合、ターゲットになるのは利用者本人(65歳以上)だけでなく、施設を探す家族(40〜60代)も含まれます。
Meta広告(FacebookやInstagram)では、特定エリアの「40〜60代」「介護や高齢者に関心がある」といった条件で絞り込むことが可能です。Google広告では「デイサービス ○○市」「老人ホーム 通い 近く」といった検索をしている人に向けて広告を表示できます。
エリアと属性の両方で絞り込めることが、ジオターゲティングがデイサービス集客に合っている大きな理由のひとつです。
リアルタイムの「空き情報」をジオ広告に組み込む効果
ジオターゲティング広告の効果をさらに高めるのが、空き状況をリアルタイムで発信することです。「現在○名空きあり」「今月から利用開始できます」という具体的な情報を広告に入れることで、クリック率が大きく向上します。
「近くに施設があるのは知っていたけど、空きがないと思っていた」という方が、空き情報を見て初めて問い合わせを検討するケースは非常に多くあります。「知っている」から「問い合わせる」への橋渡しに、空き情報の発信が機能します。
Googleビジネスプロフィールへの定期的な空き情報の投稿も、検索エンジン上での可視性を高めながら空き告知ができる手段として有効です。
デイサービスがジオターゲティングで届けたい情報の例
・現在の空き状況(○名受け入れ可能)
・見学・体験利用の受付開始のお知らせ
・新しいプログラムや行事のご案内
・施設内の日常の様子(活動写真や動画)
・スタッフ紹介や施設の雰囲気が伝わるコンテンツ
・無料相談会や施設見学会の開催情報
稼働率を上げるために整えるべき「受け皿」の話
ジオターゲティング広告で地域の家族に情報が届いても、その後の受け皿が整っていなければ問い合わせにつながりません。広告と受け皿はセットで考えることが、集客を成功させる基本です。
家族がジオ広告をクリックしたとき、最初に目にするのが施設のホームページやGoogleビジネスプロフィールです。そこで「雰囲気が分かる」「空き状況が確認できる」「問い合わせ方法が分かりやすい」という状態を作っておくことが必要です。
Googleビジネスプロフィールが地域集客の起点になる
「デイサービス ○○市」とGoogle検索したとき、地図と一緒に表示される施設情報がGoogleビジネスプロフィールです。このプロフィールが充実しているかどうかで、検索した家族が問い合わせを検討するかどうかが変わります。
施設の外観・内装・活動風景の写真を複数枚掲載すること、口コミへの丁寧な返信を続けること、営業時間や定休日を正確に記載すること——これらは無料でできる最も効果的な地域集客対策です。
さらに、Googleビジネスプロフィールの「投稿」機能を使って空き情報や行事案内を定期的に発信することで、「活発に情報を発信している施設」という印象を検索ユーザーに与えられます。
問い合わせのハードルを下げる「LINEでの相談窓口」設置
デイサービスへの問い合わせは、電話が主流ですが、「電話して断られたら気まずい」「営業時間外に調べていることが多い」という家族には、電話以外の問い合わせ手段が求められています。
LINE公式アカウントを使った相談窓口を設置することで、夜間や休日でも気軽に「空き状況を教えてください」「見学はできますか?」という問い合わせができる環境が作れます。
LINEでの問い合わせを受け付けることで、電話に抵抗がある層からの接触が増え、問い合わせ総数が増える傾向があります。また、LINEでつながることでその後のフォローも継続しやすくなります。
施設の「日常の様子」を発信することが信頼構築につながる
デイサービスを選ぶ家族が一番知りたいのは、「利用者がどんな表情で過ごしているか」です。スタッフの対応は丁寧か、活動プログラムは充実しているか、施設内は清潔か——これらは実際に見学しないと分からないことが多いですが、日常の様子を発信することで事前に伝えることができます。
InstagramやFacebookで、レクリエーションの様子や季節の行事の写真を週2〜3回投稿するだけで、「この施設は活発に活動している」という印象が地域の方に広まっていきます。ジオターゲティング広告と並行してSNS発信を続けることで、認知と信頼が同時に積み上がります。
ジオ広告と一緒に整えたい受け皿チェックリスト
・Googleビジネスプロフィールに施設の写真が5枚以上掲載されているか
・口コミへの返信が3日以内に行われているか
・空き状況の情報が最新の状態で発信されているか
・LINEやメールでの問い合わせ窓口が設置されているか
・ホームページにスマホで見やすく施設の雰囲気が伝わる写真があるか
・見学・体験利用の申し込み方法が分かりやすく掲載されているか
ジオターゲティング広告を始めるための具体的な手順
「ジオターゲティングに興味があるけど、どこから始めればいいか分からない」という方のために、実際の始め方の流れを整理してみます。
難しいシステムを導入する必要はありません。今すぐ使えるプラットフォームを活用しながら、小さく試して効果を確認していく進め方が、失敗しにくい方法です。
Googleローカルキャンペーンで地域への認知を高める
Googleが提供するローカルキャンペーンは、特定の地域にいるユーザーに向けて、Google検索・マップ・YouTubeなど複数の場所に同時に広告を表示できる機能です。
「デイサービスを探している」という意図が高いユーザー(検索している人)に届けられることが特徴で、地域内での認知獲得と問い合わせ増加を同時に狙えます。
特に「デイサービス ○○市」「通所介護 空き 近く」といったキーワードで検索している方は、今まさに施設を探している状態のため、広告への反応率が高い傾向があります。
Meta広告のエリア設定で家族層にアプローチする
FacebookとInstagramの広告(Meta広告)は、施設を中心とした半径○kmという形でエリアを細かく絞り込めます。さらに「40〜65歳」「○○市在住」「介護・高齢者支援に関心がある」という属性も組み合わせられます。
施設の日常写真や行事の動画をMeta広告として配信することで、「見たことがある施設だな」という親近感を地域の方に持ってもらえます。この認知の積み重ねが、家族が施設を探したときに「あそこに連絡してみよう」という想起につながります。
1日1,000〜2,000円程度の少額から始められるため、まず1ヶ月試して反応を見てから、予算を調整していくスモールスタートが現実的です。
ポスティングとデジタル広告を組み合わせた相乗効果
ジオターゲティングのデジタル広告と、施設周辺へのポスティングを組み合わせることで、「デジタルで見た」「郵便受けにも入っていた」という複数回の接触が生まれます。
一度見ただけでは行動しなかった方も、複数回目の接触で「そういえばあの施設、気になってたな」と思い出して問い合わせにつながることがあります。デジタルとアナログの組み合わせが、地域への浸透度を高めます。
ポスティングのエリアをジオ広告と同じ範囲に揃えることで、同じターゲット層に複数チャネルで届ける効率的な集客が実現できます。
稼働率を数字で管理するための視点
集客施策を続けていくためには、「どの施策がどれだけ効果を生んでいるか」を数字で把握することが不可欠です。感覚ではなくデータで判断することで、限られた予算を最も効果的に使えるようになります。
デイサービスの集客で特に注目すべき数字は「問い合わせ経路別の件数」「見学・体験への転換率」「見学後の契約率」「月ごとの稼働率の推移」の四つです。これらを毎月記録するだけで、施策の改善ポイントが見えてきます。
問い合わせ経路を把握することが集客改善の第一歩
「どこで施設を知りましたか?」という一言を、問い合わせがあった際に必ず確認することをおすすめします。Google検索、SNS、チラシ、紹介——経路ごとに件数を記録することで、どの施策が実際に機能しているかが分かります。
「Googleからの問い合わせが多いのに広告費をかけていない」という発見がある一方で、「多くの予算をかけているSNS広告からは問い合わせがほとんど来ていない」という気づきが得られることもあります。
データが積み重なるほど、予算の使い方の精度が上がります。最初は手書きのメモでも構いません。経路を記録することを習慣にするだけで、集客の改善サイクルが始まります。
見学後の契約率を上げることが稼働率向上の近道
集客コストを最小限に抑えて稼働率を上げるには、新規問い合わせを増やすことと同時に、「見学に来た方に契約していただける確率を高めること」も重要です。
見学当日の対応、施設の清潔感、スタッフの表情、利用者の様子——これらが良い印象を与えられれば、見学後の契約率は自然と上がります。契約率が上がると、同じ問い合わせ数でも稼働率の伸びが大きくなります。
「見学に来ていただいた方が次に感じる不安は何か」を考えて、見学当日に渡す資料や、見学後のフォロー連絡を整備することが、稼働率向上への確実な投資になります。
稼働率向上のために毎月記録すべき4つの数字
1. 問い合わせ件数(経路別に分けて記録する)
2. 見学・体験利用への転換率(問い合わせ数÷見学数)
3. 見学後の契約率(見学数÷契約数)
4. 月ごとの稼働率(利用定員に対する実稼働の割合)
地域に愛されるデイサービスになるためのブランド発信
ジオターゲティング広告で集客数を増やすことと並行して、「この施設は地域に根ざした信頼できる場所だ」というブランドイメージを育てることが、長期的な稼働率安定につながります。
地域の公民館や商店会へのチラシ設置、地域の介護関連イベントへの参加、ケアマネジャーへの定期的な情報提供——こうしたオフラインでの地道な活動と、デジタルのジオターゲティングが組み合わさったとき、施設の存在感が地域に根付いていきます。
家族の「安心感」を育てるコンテンツ発信の継続
デイサービスを選ぶ家族は、「親を安心して任せられるか」という一点を最も重視しています。この安心感はカタログや資料では十分に伝えきれません。
日常の活動写真、スタッフが利用者と笑顔で関わっている様子、季節の行事の動画——こうした「リアルな日常」を継続的に発信することが、家族の安心感を育てます。「いつ見ても活発に活動している施設だな」という積み重ねが、問い合わせを決意させる最後の一押しになることがあります。
週に一度でもいい、月に数回でもいい。継続することがコンテンツ発信の一番のポイントです。更新が止まった施設のSNSは、むしろ「今も運営しているの?」という不安を与えてしまいます。
口コミが地域集客を自動化する最強の武器になる
Googleの口コミは、地域検索での表示順位に影響を与えます。口コミ数が多く、評価が高い施設は、「デイサービス ○○市」という検索で上位に表示されやすくなります。
利用者家族からの口コミは、施設側からお願いすることで増やせます。「Googleでご意見をいただけると助かります」という一言を、関係が築けた家族に伝えることを習慣にするだけで、口コミは着実に積み上がっていきます。
一件の丁寧な口コミが、次の問い合わせを生む。その口コミがまた次の利用者を呼ぶ。この好循環が生まれたとき、ジオターゲティング広告の効果はさらに大きくなり、デイサービスの稼働率は安定した状態へと向かっていきます。
デイサービスがジオターゲティングを始める前に確認したいこと
「ジオターゲティングを早速始めてみよう」という前に、自施設の現状を整理しておくことが大切です。広告を出す前の土台が整っていないと、広告費だけが出ていって成果につながらないという事態になりやすくなります。
現在の稼働率、問い合わせ数と経路、見学後の契約率、既存の口コミ状況——これらを一度数字で把握してから集客施策に取り組むことで、「何をどう変えればよいか」の優先順位が明確になります。
施設の「見せ方」を整えることが広告効果を左右する
ジオターゲティング広告でどれだけ多くの地域の方に情報が届いても、クリックした先のホームページやGoogleプロフィールが古い情報のままだったり、施設の雰囲気が伝わらない写真しか掲載されていなかったりすると、そこで離脱されてしまいます。
広告を出す前に、施設の写真を最近のものに更新する、Googleビジネスプロフィールの情報を正確に整える、問い合わせフォームやLINEの設置を確認するという準備を先に済ませておくことが、広告費を無駄にしないための基本です。
受け皿の整備は時間をかけなくてもできることがほとんどです。今週末に施設内を写真で撮り直すだけでも、Googleプロフィールの見栄えは大きく変わります。
スモールスタートで効果を確認しながら広げていく考え方
ジオターゲティング広告を初めて導入するとき、最初から大きな予算をかける必要はありません。月1万〜3万円程度の少額から試して、「問い合わせが増えたか」「どの広告が反応されたか」を確認してから予算を調整する進め方が、リスクを最小限に抑えられます。
最初の1〜2ヶ月は「データを集める期間」と考えることが重要です。この時期にどんな属性の方がクリックしているか、どんな写真や文言に反応が多いかが分かってくると、次の月の広告がより精度の高いものになります。
「やってみてダメだったら止める」という軽いスタンスで始められることがジオターゲティングの利点です。撤退コストが低いからこそ、まずは動いてみることが大切です。
ジオターゲティング導入の3つのステップ
ステップ1:現状の整備
Googleビジネスプロフィールの写真・情報更新、LINEやメールの問い合わせ窓口の設置、施設の日常写真の撮影を行う。
ステップ2:小さく試す
月1〜3万円の予算でGoogle広告またはMeta広告をエリア設定して配信を開始する。問い合わせ経路を記録し始める。
ステップ3:データを見て改善する
1ヶ月後に「どの広告からどれだけ問い合わせが来たか」を確認し、効果が出ている施策に予算を集中させる。効果が薄い施策は修正または停止する。
季節のタイミングを活かした空き告知が問い合わせを増やす
デイサービスの利用開始は、介護認定の取得や家族の生活環境の変化をきっかけに動くことが多いです。年度の切り替わりとなる3〜4月は家族の引っ越しや異動が重なり、デイサービスを探す動きが活発になる時期のひとつです。
また、夏場は体力低下を心配した家族がデイサービスを探すケースが増え、年末年始の後には介護の負担を感じた家族が動き始めることがよくあります。
こうした動きやすい時期に合わせて、ジオターゲティング広告の予算を増やし「今○名空きあり。見学受付中です」という空き告知を集中的に発信することで、検討タイミングと情報の届くタイミングが合い、問い合わせが増えやすくなります。需要の波に乗るための事前準備として、季節ごとの集客カレンダーを作っておくことが、安定した稼働率維持の基盤になります。デジタルとアナログを組み合わせながら、地域に必要とされる施設として着実に存在感を高めていきましょう。知ってもらうことが、選ばれることへの最初の一歩です。
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